『コックファイター』 これが“闘鶏”だ!

ウォーレン・オーツ主演の映画『コックファイター』を観た。
闘鶏を生業とする主人公の生きざまを描いた無骨な物語だ。

むっつりした汗臭い男達が鶏を殺し合いさせるという奇怪な内容の映画。
それなのに雰囲気は物凄く無骨である。

『コックファイター』(1974)
監督 モンテ・ヘルマン
主演 ウォーレン・オーツ

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この映画で“闘鶏”というものを始めて映像で観た。
鶏バトルなんて突き合うだけの闘いかと思いきやとんでもなくて、ジャンプと嚙み付きで敵を痛めつけ、爪で体を引き裂いたりと、とにかく凄惨でグロい。
しかも、鶏たちはみんな鉤状の針のような金具を踵に装備して攻撃力を上げている。
死んでも戦いを続けるなど、相当エグい。
そういえば、小学校にあった鶏小屋を思い出すと、確かにどいつも荒んでいたし、特に小競り合いの時の獰猛さたるや情操教育に宜しくないものがあった。

そんな闘鶏を生業とする主人公もこれまた変わっていて、物語終盤まで一言も台詞を発しない。
てっきり聾唖なのかと思いきや、「闘鶏大会で優勝するまで喋らないと心に決めた」なんて理由だ。
この設定の時点で「主人公の生きざまが全てに優先されるタイプの映画」なのだと察した。
「主人公と鶏の絆」みたいな感動路線にいく気配は微塵も無く、あくまでツールとして、されどプライドを持って闘鶏を繰り返す主人公がいかにも70年代的な造型だ。

恋人を捨て、言葉を捨て、全てを闘鶏に賭ける中年男。
闘鶏の大会に彼女を招待するも、その内容の凄惨さにドン引きされるとこなんて『タクシードライバー』のトラヴィスと何ら変わりない所業なのだが、その後の無言の啖呵が痺れる。
その時の「心のこもったプレゼント」も超強烈。理不尽なまでの男心。

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1作目よりさらに残酷猟奇! 『忘八武士道 さ無頼』

東映のエログロ時代劇『忘八武士道 さ無頼』を観た。
名作『忘八武士道』に続く2作目で、同じく小池一夫の劇画が原作だ。

1作目『忘八武士道』はかなり有名な作品だが、2作目となるとだいぶ知名度が落ちるようで、ネット上のレビューもかなり少ない。
実際、俺もよくあるダメ続編だと決めつけて敬遠していたのだが、何ともなしに見て見るとこれが凄い!
面白さは別として、過激さだけは1作目よりさらに過剰になっている。

『忘八武士道 さ無頼』(1974)
監督 原田隆司
主演 伊吹吾郎

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主演は丹波哲郎から伊吹吾郎に変更。「性は侍、名は九死一生」というふざけた流れ者浪人。
何もしなくとも劇画顔なのでハマっているが、その行動は硬派とは程遠い外道の極みだ。
外人女を拉致るために護衛の侍達をバラバラに斬り飛ばし、目当ての外人女の大きな乳房を揉みしだいて犯しながらその喉笛を横一文字に斬り裂く。
外人女の裂けた喉から噴出する血飛沫でタイトルバック。冒頭から超残酷映像の連続だ。

伊吹吾郎はその後、天津敏にスカウトされて売春組織の用心棒となるが、中盤までは殆ど弱い者いじめと強姦を繰り返すだけ、という凄い構成になっている。
池令子も登場し、みんなの期待通りに犯されるのだが、和装も相まっていつもより綺麗に見える。
その付き人の聾唖人・川谷拓三による究極の献身愛も見どころ。
なんと、目の前で犯される池令子を観まいと自分の目を刀で切り潰すのだ。
池令子は伊吹吾郎の虜となるも、自分そっちのけで白痴の娘ばかりが寵愛されることに嫉妬し、そのストレスを川谷拓三に当り散らす。
それでも献身を続ける川谷拓三。物凄い倒錯愛憎劇。

スプラッタ&チャンバラに加え、逆さ吊り水責め、全身粘土責め、レズ調教、竹の股裂き…
『徳川いれずみ師 責め地獄』や『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』にあったような残酷女体拷問がメドレーされる。
しかも、上記2作ではトリを飾った「股裂き」を出し惜しみせず前半で魅せてくれる贅沢ぶり。
(特に「粘土責め」は『責め地獄』にも無かったのでは?)
後半、ピンチになった伊吹吾郎を池令子が牛車で助けに来るシーンがあるが、牛車にグチャっと胴体を潰されるヤクザをわざわざ描く辺りこの映画の悪趣味さが凝縮されている。
残酷時代劇と異常性愛路線が融合した、東映にしかできない異形時代劇だろう。

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↑1作目はエログロ時代劇の名作で必見なのだが、『さ無頼』を観た後だと正統派にさえ思える。

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『SCATTER あなたがここにいてほしい』完結! 『19歳の地図』から『キックアス』へ

新井英樹の『SCATTER あなたがここにいてほしい』の最終巻を読んだ。
最初はどうなる事かと思った奇天烈SFだったが、終わってみると至って新井漫画的な物語だった。

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新井漫画において、最終回で主人公が物語開始当初と同じ状態である事はまず皆無だ。
見た目も中身も、生まれ変っていると言っても過言ではないほど著しい変化を遂げる。
本作の主人公・久保は、見た目の変化で言えば、過去作で一番激しいかもしれない。
当初こそ、新井漫画で繰り返しモチーフに使われる『19歳の地図』の主人公に酷似した陰気なルサンチマンだったのが、『ブギーナイツ』『レイプ25時 暴姦』を思わせるレイプ・セックス教示を経て、超個人的ヒーロー『キックアス』に至る。

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ヒロインである沢田女史は『宮本から君へ』の靖子がそうだったように、とてもヒロインにはみえない(かといって漫画的な不美人でもない)絶妙なルックスから、愛らしく女っぽいビジュアルへ変貌する。
その変化後のルックスが過去作の変化よりも「萌え系」のそれになっている(とはいえ世間一般の物とは距離があるが)のも実験的だ。
思えば、新井漫画でいつも描かれたのは、「俺だけが好きなあの子と激しくセックスしたい!」というもの。
過去作のどの主人公も、性的には汚れきっていても、最終的にはたった一人の女を求めていた。
客観視点では不美人でも、主人公を通せば世界で一番魅力的な女になる。
だから、主人公と読者のシンクロ率が高まる後半ほどヒロインのルックスも良くなっていくのだ。
2人の愛あるセックス描写は本当に感動的だし、ラストの殴り込みも高揚し通しだ。
ただ、どうも過去作の様に心から熱くなれないのも事実だ。
勿論「普通の漫画」程度には燃えたが、新井英樹の漫画はこんなもんじゃなかった。

やれ宇宙ザーメンがどうだのSF的アプローチも決して上手くいったとは思わない。
新井漫画の醍醐味である青春劇画に帰結したことに妙に安心する一方で、本当にこれが描きたかったのか、セルフパロディに落ち着いただけじゃないかと言う気もしている。
「男の瞬間の中で最も格好悪い"オナニー姿”こそ格好良く描きたい」という偽悪的ナルシズムが先行し過ぎていないか?

テーマ : アニメ・コミック
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2017年2月17日 脱獄広島殺人囚DVD発売

『脱獄広島殺人囚』のDVDが出るか。
まあ、出るだろうな~とは思ってたけど。

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昔はこういう追悼商法を仕掛ける映画会社にいちいち憤ってたし、普段昭和の映画なんて見もしない癖に亡くなった時だけ慌てて1,2本レンタルして「昔の役者は迫力が違う」なんて言い放つ、厚顔無恥な連中の存在が我慢ならなかった。
でも、最近はそれも悪くないのかなと思っている。
未見の人に故人の良い作品を知って貰える機会が少しでも増えるのは悪いことじゃあないよな。
特に『脱獄広島殺人囚』は観たい人も多かろうし、俺も大好きな作品。
これは絶対買う。

でも、併せて発売される『強盗放火殺人囚』と『広島仁義 人質奪還作戦』はつまらないしVHSあるからいらんかな…

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『広島仁義 人質奪還作戦』は東映実録やくざ映画がこんなにつまらないわけがない!っと2回見て確認したほどつまらない

2017年2月12日 Filmarks開始

こないだFilmarksで発見した『鉄砲玉の美学』の盗用レビューは無事に削除されていた。
ヤツのアカウントがきっちり残っていたのがちょっと気に入らない。
確かに「アカウントを消せとまでは言わない」と書いたけど、そこはオトナの行間というモノが…まあいいさ。

もう用済みだからアカウント消してもいいけど、せっかくだからもっと使ってみることにしました。

https://filmarks.com/users/suprushken

といっても、メインはこのブログで、あくまで点数と簡単なレビューだけにしときます。
一部レビュワー同士のなれ合いの感じがウザくて今まで敬遠してたけど、点数が一覧で出てくるのは良いなあ。
もしもうやってる方がいれば、フォローやコメントは大歓迎です。
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Author:スギノイチ
ゆとり丸出しダメ社会人。
最新映画もそれなりに観ますが、古い映画が好きです。
映画も漫画も好きだけど、音楽の知識はからっきし。

勝新太郎信者、渡瀬恒彦主義者。
よって必然的に東映、大映の映画が好き。
年代で映画を観てるつもりはなかったけど、気が付くと60、70年代の映画ばかり好きになっている。

Filmarksもやってます。
https://filmarks.com/users/suprushken

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