2017年9月20日 連休帰りと海外出張の憂鬱

3連休は男友達とむさい大阪旅行。
みんな台風のせいで引き籠っているのか、連休中の観光地と思えないぐらい道頓堀は歩きやすい。
昼は新世界をぶらり。思ったより綺麗な街。
物足りぬ、『めす市場』的なものを求めて「新世界地下劇場」へ行くと、期待通りのカオスな光景。
友人が隣の老人からお誘いを受けた時点で退出し、日劇東映にて『渡世人列伝』を観る。

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妖怪メイクの天津敏。
無意味にカタコトの汐路章。
あくどい名和宏と遠藤太津朗。
2枚目の池部良にヒロイン藤純子。
高倉健と鶴田浩二の決死の殴り込み。
意外なことは何一つ起きない、東映任侠映画に期待する全てを結集した、様式の極限のような映画。
ここまで徹底するとあっぱれ。

新世界を後にして、夜はただただ飲み歩き。
ホテルは西成の糞安い宿にしたので、その分の予算はとことん遊び代に投資。
夜のネオン街も台風の影響でどこもスカスカ、客としては非常に快適。
台風そのものも、深夜にスッと通り過ぎただけらしく全く支障なし。
こんなに順調で良いのかと思って大阪から帰宅すると、翌日出社でカンボジア出張の命を受ける。
2週間とはいえキッつ…久々に『キリングフィールド』観とくか…

『天使の欲望』 涼子を殺す 殺します

ずっと前から観たかったカルト映画『天使の欲望』を観た。
関本郁夫監督の東映ポルノだ。

2人きりの姉妹が、互いに同じ男を愛し、やがて殺し合いにまで発展する。
期待していたほど面白かったわけではないけど、東映ポルノらしからぬ叙情的な後味は好き。
あまり東映の映画を観ている気がしない、日活ロマンポルノを観ている感覚。

『天使の欲望』(1979)
監督 関本郁夫
主演 結城しのぶ

天使の欲望 (日本カルト映画全集)

清純そうに見えてヤリマンの姉・涼子(結城しのぶ)。蓮っ葉に見えてウブな妹・久美(有明祥子)。
この正反対の姉妹はレズっ気さえ感じるほど仲が良いが、姉が吉沢健に強姦されてから歯車が狂い出す。

強姦された姉が男とくっつき、そうと知らず純粋に男を愛する妹は相手にもされない、という捻れに捻れた関係性。
姉妹の運命を弄ぶこの男がまた、単なるクソつまらないカス野郎というのも皮肉。
この有明祥子という女優は初めて知ったが、野性児ゴリラに見える時もあれば、姉以上の美人に見える時もある不思議な存在感がある。
姉の見合いの場についてきた挙句、「姉ちゃんは強姦されそうになって~」などと聞きとして話し出すシーンは笑える。
やたら男と殴り合ったり、怒った結城しのぶにブン殴られて水溜りにダイブするなど、かなり根性がある演技が多い。
吉沢健が結城しのぶを強姦するシーンなんかも、ジャイアントスイングみたいな動作があったりして、エロシーンなのに何だかアクションシーンを観ているように動的だ。

吉沢健をきっかけとして、姉妹はどんどん自分の本質を目覚めさせていく。
というか2人とも暴力的になっていく。
途中からもはや吉沢健などどうでもよくなり、互いの闘争心だけが暴走。
特に妹の久美は「涼子を殺す 殺します」などという物騒なポエムを書き殴るに至り、ガチの殺し合いへ発展。
風呂場でのヌードバトルは見ごたえアリ。
嵐のようなクライマックスが嘘のような、殺風景な海を映した静かなエンドロールが心に残る。

ちなみに、序盤で姉妹が実家の青森に里帰りするシーンがあるのだが、方言の再現度が高くて驚いた。
イントネーションは別として、単語はかなり正確。
その直後に青森出身の三上寛が出てきたので合点がいった。出演ついでに監修してもらったのだろう。
ちなみに三上寛は結城しのぶを強姦しようとしたが、それを目撃した有明祥子に半殺しにされ退場。

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清々しいまでの二番煎じ 『めくら狼』

東千代之介主演の仁侠映画『めくら狼』を観た。
タイトルだけで誰もが察する通り、勝新の『座頭市物語』のパクリ映画だ。

いくら東映とはいえ、さすがに少し変えて来るに違いない…という予想は外れた。
思った以上に遠慮なくパクっている。

『めくら狼』(1963)
監督 大西秀明
主演 東千代之介

ぼさぼさ坊主、汚い着流し、三味線、“めくら”と言われ激昂する居合の達人、しかも仕込み刀…かろうじて逆手斬りではない。
座頭市との違いを探す方が難しいのだが、しいて言えば関西弁なことと、市よりは陽性の性格をしている。

主人公のキャラクターこそまんまだが、時代設定は明治なので、江戸時代末期(多分)の『座頭市物語』とは、一応の差別化が図られている。
それに、『座頭市物語』は時代劇と任侠モノの2つの性格を持っていたが、『めくら狼』は任侠の趣が強い。
そのためか殺陣シーンも少なく、『座頭市』のようにアクションで魅せることもない。
ヒロインは藤純子だし、完全にいつもの東映任侠をやっている感じだ。

脚本は笠原和夫で、主人公の想い人が寝取られていたり、人生の師匠とも反目する羽目になったりと、結構暗い話が続く。
それでもあまり陰惨にならないのは、主人公・捨五郎のバイタリティが大きい。
気分のままにすぐに踊ったり走ったり、座頭市に比べるとかなり喜怒哀楽が豊かだ。
小さな男の子との一連のシーンからは、ちょっと無法松的な要素も感じる。
まあ、快男児的キャラクターを寄せ集めただけといえなくもないが…
結局これ一本しか作られなかったようだが、もう少しシリーズが続けば、座頭市とは違った何かが見えてきたかも。

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現実感皆無!日活イズム全開のオールスター映画『嵐の勇者たち』

石原裕次郎主演のギャング映画『嵐の勇者たち』を観た。
日活末期のオールスター映画だ。

既に“ボス”化の兆しが見える裕次郎を筆頭に、渡哲也、宍戸錠、二谷英明、浜田光夫、藤竜也、川地民夫、岡崎二郎、岡田真澄などが参戦。
女優陣は山本陽子、梶芽衣子、吉永小百合に加え、浜美枝が重要人物として登場。
アキラもルリ子も出ていない、全体的に少し若目のオールスターという感じ。

『嵐の勇者たち』(1969)
監督 舛田利雄
主演 石原裕次郎

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時代は日活末期だが、日活ニューアクションという訳でもない。
むしろ、60年代前半以前の日活ギャング映画に戻った様なテイストの作品だ。
そこに東宝のモダン要素が融合した結果、現実感の欠片も無い話が出来上がっている。
あまつさえ、登場人物達が劇中で歌いだすという日活映画のお家芸が炸裂。69年にもなってこれは…

ただ、とにかくルックスの良い人達が画面を埋め尽くすので、終始見栄えはする。
演技力やリアリティはさておき、日活映画というのはその点に関して他社を寄せ付けない。
銃撃戦だボートだヘリだと、プログラムピクチャーにしては結構金も掛けているようだし、オールスター映画というのはこれでいいのかも。

その中でも、裕次郎と渡哲也の関係性はちょっと特別な感じで描かれている。
序盤のトイレでの無言の邂逅や、ボートのデッキで並んで馬鹿笑いするシーン。
吉永小百合演じるヒロインを選んだのがカモフラージュに思える程、渡哲也は裕次郎に夢中だ。

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『スローなブギにしてくれ』 浅野温子のインパクトだけで2時間

藤田敏八監督の『スローなブギにしてくれ』を観た。
片岡義男の小説を浅野温子主演で映画化した角川映画だ。

苦手な藤田作品。しかも長尺と野暮ったさが保証されている角川映画。
それでもスッと観れたのは、浅野温子が魅力的だったから。

『スローなブギにしてくれ』(1981)
監督 藤田敏八
主演 浅野温子

スローなブギにしてくれ

冒頭の、猫を手招きする浅野温子を捉えた主観ショットの輝き。
結局、ここ以上に良いシーンは無かった。それほど若き浅野温子のインパクトは凄い。
出演作はもう何作も観ているはずだけど、どの映画でも、最初に出てきた時にハッとする存在感を放っている。
常に喧嘩を売るような顔つき、事実喧嘩を売るような言動、目つき、気の強さ。
古尾谷雅人演じるダメ彼氏とのやりとりも幼稚で可愛い。
痴話喧嘩で子猫を何匹も窓からブン投げまくるところはビビったけど、何気ないシーンのように撮られているのがいかにも昭和。

この映画は男も女もダメ人間ばかり。
赤座美代子も竹田かほりはツラは良いけどダメ女だし、春川ますみはネグレクトババア。
ただ、男はもっとひどい。
輪姦された浅野温子を前にした古尾谷雅人が「汚い」とか「死んでも抵抗するべきだった」とか言い出すのは、当時からしてもかなり非難轟轟な発言だろう。
(このレイプ一味の1人を演じているのは若き日の和泉聖治らしい。全然気が付かなかった)
単なる若い女好きの癖に、妙に哲学ぶる山崎努のキャラもかなり寒い。
山崎努と浅野温子のシーンはどれも“格好良さ”の基準が古臭さ過ぎて観ていられない。
それに比べると、室田日出男の役はかなり格好良いんじゃないか。
古尾谷雅人との組み合わせは『人妻集団暴行致死』を連想して変な感じ。

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Author:スギノイチ
アラサーダメ社会人。
最新映画もそれなりに観ますが、古い映画が好きです。
同じくらい漫画も好き。
怪獣好きだけど特撮好きではない。

勝新太郎信者、渡瀬恒彦主義者。
よって必然的に大映、東映ファン。
年代で映画を観てるつもりはなかったけど、気が付くと60、70年代の映画ばかり漁っている。

Filmarksもやってます。
https://filmarks.com/users/suprushken

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